宗教


 信長は、宗教弾圧を行った無神論者と一般には言われたりもしますが、
信長公記にはけっこう信仰心のあるところも書かれていて、
資料をきちんと調べてゆくと、信長とは、信仰心があるがために
売僧の弾圧を熱心に行う政治家ではなかったか、と思われます。

 たとえば、
『父親の回復を願って僧侶を呼び、回復するとの答えだったので祈祷させたにもかかわらず
彼の父親はまもなく亡くなったので、僧侶を寺に閉じ込めて外から弓矢を放ち数人を射殺した。』
という内容の話がフロイスの日本史に載っています。

 無神論者ならこの話を聞いて、僧侶を惨殺する極悪非道な振る舞いと思うのでしょうが、
世の中に神仏が存在すると仮定して見れば、信長の行為はけっして悪い行いではありません。
 信長は始めに僧侶に対して、病気が回復するかどうかを尋ねていて、僧侶は回復すると答えています。
つまり、僧侶に病気を治す法力があれば、何の問題もなく父親の病気は治っているはずで、
亡くなったという時点で僧侶には命を助ける力がなく、祈祷した僧侶は詐欺師といっても過言ではありません。
 また、僧侶を寺に閉じ込めたのなら、寺の中には人を救えるとされる各種の祈祷を行う道具立てがそろっているので、
もし寺の中で祈祷を行う僧侶に法力があれば、外から弓矢を放ったとしても、宗教的に言えば矢が当るはずがないのです。

 つまりこの事件で信長は、人を救う力が無いにもかかわらず人を救えるような事を言って
世の人々を騙しては金銭を巻き上げる、詐欺師を成敗しただけの事なのです。

 また、安土城においても7/15日の夜に天主とハ見寺に提灯を吊らせた話があるのですが、
現代人は無神論者なので、この話を単なるイベント時のライトアップと考える人が多いのですが、
宗教的に言えば、7/15日の灯火は先祖の魂を無事に霊界に送り届けるための火なので、
城下の個々の家には焚かせずに天主とハ見寺で送り火を焚いたという事は、
信長が、死者の魂までも支配しようとする意思のあらわれと言っても過言ではありません。

 ということで、  このコーナーでは安土城と宗教の関わりを考えて行きます。

最終更新日時
2007年8月13日
17:53:23

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