タイトル | : Re: 淳也さんの「東山殿常御所」へのコメント |
記事No | : 387 [関連記事] |
投稿日 | : 2007/10/08(Mon) 14:06 |
投稿者 | : 森嶋 |
> 提示した復元案に関する問題点が書いてない、ということは、
> 東山殿常御所は、このプランでもOKと考えてよろしいのでしょうか?
宮上案・川上案・淳也さんの復元案の中では,
川上貢氏の復元案が優れていると思います.
宮上案・淳也さんの復元案は御焚火の間の部屋の形がおかしいと思います.
淳也さんの指摘どおり,
川上案の採光について改善すべき点があると思いますが,
そもそも全ての部屋の大きさを書いていないのですから,
復元の対象とすべきではないのかもしれません.
> > ■誤解その1■
>
> 足利将軍邸の常御所が6間×7間だったという伝承は、
> 本当に存在しているのでしょうか?
> 足利義政のもの以外、将軍邸の常御所の間取りに関する資料は、
> 存在していないと思うのですが・・・。
宮上氏によると,
常御所の大きさの伝承だけで間取の情報は不明だったそうです.
> 東山殿常御所の各部屋のうち、
> ご寝所・昼の御座所・落間の面積は資料には載っておりません、
> 各部屋の面積の合計と同じ、といえる根拠はどこにあるのでしょうか?
正確には「川上貢氏が復元した各部屋の面積の合計と同じ」と書くべきでした.
> > ■誤解その2■
> 宮上氏は資料批判の結果、1類本の本文のみが正しく、
> 1類本の追記部分と2-3類本の記述は、改竄に基づくものとして、
> 復元の資料としては使っていないのに、
> この部分のみ、2-3類本が正しく1類本が誤写であるとする態度は、
> 合理的ではなく、御都合主義だと思います。
現在の印刷物は校正がおこなわれていますが,
それでも誤字・脱字はあります.
同様に,各写本にも誤字などの書き間違い(写し間違い)
があることを前提としなければなりません.
これは,どちらの写本が史料として優れているかという問題と全く別の次元の問題です.
1類本「17畳」,2-3類本「10畳」となっていますが,
宮上氏も指摘しているように,
「17畳」という大きさの座敷は普通ありませんから,
まず1類本の書き間違いを考えるのが常識ではないでしょうか.
その後,実際に復元図を作成して,
どちらが正しいかを判断するのは合理的な推論だと思います.
> > ■誤解その3■
> このサイトには引用していませんが、
> "君台観左右帳記"は、この前後もなが〜く続いていて、
> 会所の小壁に書かれた絵画の記述も書かれています。
>
> 小壁に絵画が飾られていたなら、会所の記述と同じように
> 「小壁に・・・」と書かれるはずで、書いていない以上、
> 書院の絵画は小壁にかけられたわけでは無いと判断できます。
会所の小壁に絵画が「書かれていた」のか,
それとも「飾られていた」のか,
また前後関係がどうなっているのか,
原文を読んでいないのでわかりません.
もし「会所の小壁に絵画が書かれていた」のであれば,
小壁に絵を書く(正確には絵を貼り付ける)のは,
当時,非常に珍しいことなので「小壁に」と記録したと考えます.
これに対して,
小壁に(巻物の)絵画を飾ることは当時の常識なので,
わざわざ「小壁に」と書く必要はなかったと考えます.